にせものクマリにクマりされたおはなし
皆さんはクマリをご存じだろうか?
しらない?
クマでも毬でもないぞ。
おそらく、クマリを知っている方は相当博識のある紳士淑女か、クイズ研究会などに入っているクイズ王か、ただのネパールマニアである。
ここで、Wikipediaから引用しよう。
クマリ(Kumari、Kumari Devi)は、ネパールに住む生きた女神である。密教女神ヴァジラ・デーヴィー、ヒンドゥー教の女神ドゥルガーが宿り、ネパール王国の守護神である女神タレージュやアルナプルナの生まれ変わりとされており、国内から選ばれた満月生まれの仏教徒の少女が初潮を迎えるまでクマリとして役割を果たす。中には初潮が来ず、50歳を過ぎてもクマリを務めているケースもある。
この写真のように、独特な化粧と赤い華やかな衣装に身を包んでいる。
クマリになるには条件があるようで、
初潮前の幼い少女が前提のほか、様々な条件が課される。
以下は32ある条件の一部である。
- 健康である (健康第一)
- すべての歯が欠けていない (歯は大切っていうよね)
- 菩提樹のような身体 (はい?ぼだいじゅのような身体ってなんだよ)
- 牛のような睫毛 (まあ、牛さんの睫毛はきれいだよね。)
- 獅子のような胸 (どんな胸よ!仮にも幼女でしょ!)
- 鹿のような脚 (美脚てこと?)
- アヒルのように柔らかく透き通った声 (ちょっとよくわからない)
- 黒い髪と目 (これはわかる)
また、身体的には怪我の跡や不自由な箇所がないことも条件であり、動物の頭部が並べられた暗い部屋に閉じ込められて耐えることも必要とされる。
(これは、自称ガイドが言っていた。動物の解体作業を見せたり、真っ暗な部屋に24時間軟禁して、声を出さなければクリアだとか)
国や国王との占星術における相性が良く、これらすべての条件をクリアした少女がクマリとなる。
(最後は運なんですね)
とまあこんな感じである。
私は、カトマンズのダルバール広場に行ったとき、その中にあるクマリの館と呼ばれる場所でクマリに会った。(見た。)
館の使者みたいな人にお布施を渡すと、チラッと館の窓からクマリが覗くのである。「生き神?ぷぷっ。そんなバカな。」って正直思っていた私も、実際に姿を現すと違うオーラを感じた。美輪明宏さんみたいな感じ。オーラの泉である。にこりともしないでこっちを見下ろしてくるのだ。後から聞いた話だが、クマリになると学校に通えないし、話してもいけないので、クマリの役割を終えたあと日常生活に支障をきたすとのことで問題になっているらしい。
ふつうに軟禁だからなあ。俺だったら逃げ出しちゃう。
とまあ、これはほんものクマリだったわけだが、にせものクマリにも会った。ローカルクマリとも言い、各地にもいるらしいが正直その線引きは曖昧で自称クマリもいるだろう。
ふらっとよったどこかのお寺だったが、おじさんに手招きされて、どう考えても怪しいが好奇心からついて行ってしまった。明らかに民家のような狭い廊下を進むと、ついににせものクマリと邂逅した。おじさんに促されクマリの前に跪く。何とも言えぬ緊張感が走った。そこで、クマリがおもむろに僕のおでこを触り、例の赤いやつをやや雑に塗りたくった。
おお、ありがたい。よくわからないが、そう思った。
するとおじさんがニコニコしながらクマリの前にあるザルを指さした。そこにはネパールルピーとドル札が入っている。
ははーん、そういうビジネスなんだあ。まあ薄々入る前から感づいていたけど。僕は言われるままに札を入れた。なんてチョロイ日本人なんだろう。こうやって観光客をカモにしているんだろうな。
こうして無事ににせものクマリにクマリされてしまったのだった。。